2010年7月10日土曜日

93年の脳

蒸し暑い実家で二人、祖母と話していた。
話の中で、思い出せない地名があるようだった。
僕が、「日本海側?何で有名?」などと聞くも「えーと、えーと」というばかり。
かろうじて出てきた記憶も「岩で有名じゃ・・・」のみ。

普段なら、そういう断片情報から僕が先に解って、「解った。ヒント出したげよか?」と遊ぶのだが、さすがに「岩で有名」だけではどうにもならぬ。
祖母は「あかんな、歳や」を繰り返す。
しばらく、じっとりした沈黙があって、おばあちゃんが「考えとったら暑ぅなってきた。トイレ行ってから考えよ。」と立ち上がりはじめた。
立ち上がる、と言っても、「よっ・・・・・・・・・・こ・・・・ら・・・・・・・・しょ・・・・・・い・・・・・・・・・・・・と・・・・・・」みたいな感じなので、トイレから帰ってくるのには時間がかかる。
なので僕はいったん自分の部屋に行こうと二階に上がったら、一瞬、下の階から叫ぶような声が聞こえた。
普段聞かないような大きな声にどきっとして、何事かと耳をすます。
「東尋坊!!ああわかった!東尋坊じゃっ!!」